Sゝゝ[エス]の錫製品は、熟練した職人の丹念な手仕事の技術を活かし、
きめ細かく味わい深い光沢をもつ錫ならではの繊細な鎚目の表情を出しています。
他の素材に比べて表現の広がりをもつ錫の特性をふまえ、独自のかたちと機能美を追求しています。

錫器とは

古来、神社仏閣の御神酒徳利として珍重されてきた錫器。
日本における歴史は弥生時代まで遡り、錫が単独で使われるのは6〜7世紀頃の飛鳥時代のこと。
正倉院御物にはいくつかの舶来品の錫器が安置されており、日本の錫技術に多大な影響を与えたとされます。
かつて徳利は「すず」と称され、転じて中身の酒のことも指すようになりました。
江戸時代、大阪は錫器の一大産地として発展。錆びない、朽ちない金属は繁栄を願う縁起物としても好まれ、
熱伝導率がよく酒の味わいをまろやかにする錫器は、酒器として庶民にも広く普及しました。

製作工程

錫器の製作は、鋳込み・轆轤挽き・打ち物(鍛金)と、大きく分け3つに分類されます。
純錫は常温で手でも曲げられるほどやわらかいため、機械での加工が難しいほど。
融点は270℃程度と低く、鋳型で鋳込みやすい金属です。
鋳型で鋳込んだ錫は冷ましてから、轆轤挽きや鍛金されることで、独特の白い光沢を帯びます。
今回はSゝゝ[エス]の錫製品で代表的な打ち物(鍛金)の技法をご紹介します。

溶解・鋳造

錫の融点は270℃程度、鍋で熔解させたものを厚紙の型に流し込み鋳造します。
錫は融点が低いため、厚紙は焦げることなく鋳造することができます。

刮げ(きさげ)・槌目

鋳造された錫の表面を、小刀を使いしごくように削り磨きあげます。
さらにその上からテクスチャーの入った金槌を用い、表面を叩き槌目の表情を丁寧につけ、
合わせ目となる断面をヤスリで整えます。

合わせ・溶接

槌目で表面を整えた錫板に型を当てながら立体にゴム槌を使い優しく叩き合わせていきます。
錫板の合わせ目には、錫の粒を接合目に着け、バーナーを用い溶かしながら接合します。

轆轤・仕上げ

最後に轆轤に掛け、底の接合部の不要な部分を取り除き、表面を整えていきます。

完成

水を入れて、漏れがないか確認して完成します。

道具

錫職人の道具の中で特異な器具は「雁木鑢(がんぎやすり)」と呼ばれる鑢(ヤスリ)です。
通常の鑢は交差した鑢目となりますが、錫職人の使用するヤスリは横方向のみ。
一方向に鑢目があることで、しっかりと錫をやすることができます。
やわらかい錫を加工するのに最適な道具です。

その他に錫の表面をしごいたり、細工する時に使用する「こくり棒」(写真下左)や
錫の表面に槌目のテクスチャーをつける金槌や錫ならではの道具があります。
それも職人が長年大切に手入れし使っているものや、職人が道具を一から作っています。
どれも二つと同じものがない道具ばかりです。

Sゝゝの錫製品

  • 錫の片口チロリ

    錫の片口です。
    熟練した職人により板状の錫を何種類もの金鎚で叩いてかたちを作っていく「叩き出し」という技法で製作しています。仕上げには特殊な金鎚を使い、一つ一つ手作業で鎚目を施しています。この鎚目は意匠としてだけでなく、表面のキズを目立ちにくくさせる効果もあります。
    錫には「二級酒を一級酒にする」と言われるほどの抗菌・イオン効果があり、酒器に最適です。1〜2名用の酒器や水差しとしてお使いいただけます。

  • 錫の箸置き

    錫の箸置きです。
    熟練した職人により板状の錫を何種類もの金鎚で叩いてかたちを作っていく「叩き出し」という技法で製作しています。四角や八角などのシンプルな形状に、柄や模様をつけています。
    仕上げには特殊な金鎚を使い、一つ一つ手作業で鎚目を施しました。この鎚目は意匠としてだけでなく、表面のキズを目立ちにくくさせる効果もあります。錫には抗菌効果があり、箸置きには最適です。

  • 楊枝入れ

    シンプルな楊子入れです。
    仕上げには特殊な金鎚を使い、一つ一つ手作業で鎚目を施しています。この鎚目は意匠としてだけでなく、表面のキズを目立ちにくくさせる効果もあります。
    錫の特徴である抗菌効果により、楊子を清潔に保つことができます。