Sゝゝ[エス]は日本各地の職人の方々とともに現代における「生活道具の創造」に取り組んでいます。
今回は、陶磁器の製作を担う職人の技法と道具をご紹介いたします。

技法

  • 轆轤成形
    粘土を円盤の中央に置いて回転させ、遠心力を利用して成形する技法。
    手で回転を与える手轆轤、足で回す蹴り轆轤、電動轆轤などがあります。
    「土練り3年、轆轤10年」と言われるように、轆轤で思いどおりの形を作るのは経験と技術が必要となります。

  • タタラ成形
    粘土を板状にし、その均一な厚みを利用して成形する技法。
    粘土の塊の両端に、タタラ板と呼ばれる同じ厚さの板を置き、その板の厚さにそって糸で粘土を切り取ります。
    板状の粘土を型にあてたり、組み合わせるなどして成形します。
    轆轤ではできない、楕円皿や角皿、箱形の器作りに適しています。

道具

Sゝゝ[エス]の陶製品のなかでも、手轆轤やタタラ成形など特に丁寧な手作業が必要とされる
「円錐鉢」や「箸置き小皿」、「正角盛皿」──。
有田の地で、その製作に従事する職人、遠山貴弘さんに大切にしている道具を伺いました。

  • Q : 大切にしている道具は何ですか?
    A : 自分自身の手です。手がないと何もできない。
  • Q : 物理的に大切な道具は何ですか?
    A : 黄楊(つげ)の木で作った牛箆(ぎゅうべら)です。

    牛の舌に似た形状から牛箆と呼ばれるこの道具は、
    轆轤での製作をする遠山さんとって、さまざまな形状を作るうえで不可欠。
    製作する形に合わせて多種多様な牛箆をご自身で使いやすいようにベースから削り、磨き出して使用します。

Sゝゝの陶製品

  • 円錐鉢

    轆轤を引いて成形した円錐状の盛り皿です。職人の高い轆轤技術によって、筒状の部分と円形の皿の部分を一体で成形しています。

  • 箸置き小皿

    皿部分は轆轤成形、箸置き部分はたたら成形と、2つのパーツを接着し成形しています。型で作ることが難しい形状のため、一つ一つ手作業で手間をかけて製作しています。

  • 正角盛皿

    高さを出した盛皿は、粘土を糸で引いて粘土板を作るタタラ成形で製作しています。粘土板を均一的な厚みに作ることはもちろん、最も難しいのは成形後の生地の乾燥と焼成です。焼成時に窯の中で壊れてしまうことのないよう、均一に乾燥させます。